便秘・下痢に、ご用心

便秘・下痢に、ご用心

年をとると消化機能が低下して、便秘を起こしやすくなります。若い時より食べる量が減ったり、運動不足も重なって、ますます便秘がちに。便秘は起きてからあわてるより、日頃からの予防が大切です。
また、お年寄りは体温の調節機能も低下しています。知らず知らずのうちに体を冷やしてしまい、下痢を起こす場合も。お年寄りの身の回りに、周囲の人が気をつけたいものです。

便秘は予防が大切

便秘を防ぐいちばんのポイントは、食物繊維をたっぷりととること。野菜・豆・いも類・海藻・果物など、食物繊維の多い食品を食卓へ。水分を十分にとることも、便秘予防に大切です。

・食物繊維で便秘追放!
出るものが出るには、それなりの量が必要。食物繊維は水分を吸収して便を柔らかくし、便の量を増やして出やすくしてくれます。
毎食のメニューには、食物繊維の多い野菜や豆・いも、海藻をたっぷりと!ミキサーなどで細かく刻んで料理に使うと、お年寄りにも食べやすくなります。
主食は、白米より七分づき米、そばなどのほうが、食物繊維を多くとれます

  • 水分を十分に
    お年寄りの中には、トイレが近くなるからと水分を控える人がいます。水分を十分にとることも、便秘予防には大切。
    食事に汁物やスープを取り入れたり、おやつに牛乳や果汁を飲むなど、自然に水分がとれる工夫を!
    朝、起きがけにコップ1杯の冷水を飲むと、腸を刺激して排便への合図となります。

・適量の油も大切です
油は腸での潤滑油となり、便を出やすくしてくれます。年をとるとさっぱりしたものを好むようになり、油が不足しがちに。揚げ物をさっとおろし煮にするなど、お年寄りにも食べやすい工夫をしてみませんか

・便秘解消、あの手この手

お腹をマッサージ
蒸しタオルでお腹を温め、おへそを中心に「の」の字を描いてマッサージ。お腹をもんだり、うつぶせにして腰をマッサージしても効果的です。

坐薬や浣腸、下剤
頑固な便秘には、坐薬や浣腸、下剤などを使うことになります。

コチコチ便には、摘便を
便が肛門近くまで来ているのに、コチコチに固まって浣腸をしても出なかったり、いきむ力のないお年寄りには「摘便」を行います。まず、薄いビニールの手袋(薬店などにある医療用のもの)をして、指先と肛門に潤滑油(ベビーオイルなど)をぬります。指先をそっと肛門に挿入(第2関節ぐらいまで)。便をかきだします。

・下痢対策は、日頃から

下痢はお年寄りの体力を消耗させるだけでなく、自尊心を傷つけることにもなりかねません。温かい飲み物を勧めて脱水を予防し、できるだけ早く回復できるよう心づかいを!

脱水に注意!
下痢を起こすと水分が失われるので、脱水状態にならないよう注意が必要。温かい番茶やスープなどを勧めます。食事は、おかゆやよく煮たうどんなど消化がよく、水分の多いものをとるようにします。

お尻は、そのつど清潔に!
下痢を起こしている時には、おしりをちり紙でふいた後、温かいタオルでふいて、皮膚を乾かします。汚れは皮膚のただれ、床ずれなどの原因にもなるので、ご注意を。

早めに病院へ!
お年寄りの下痢は、急速に体力の消耗を招くことがあります。場合によっては早めに受診して、医師の診察を受けることが必要です。

やさしいお世話を!
下痢は、お年寄りに「情けない」気持ちを抱かせます。「また、トイレ?」など、不用意な言葉は慎みたいもの。お年寄りの身になって、快くお世話をします

 

能見台きづなクリニック